2026年度 卒業研究指導方針
氏 名:小野 永貴
所 属:情報資源経営主専攻
研究室:7D114(学生の共同研究室は7B240)
指導可能な研究領域
本研究室は、主に情報教育や探究学習支援、および学校図書館の領域を対象に研究を行っています。
- 人々は学習するとき、本や論文など、何らかのメディアを利用しながら学びます。特に中高生の場合、デジタル教科書や授業映像といった電子媒体も、重要な学習メディアとなります。
- 現在の中学・高校で行われる探究学習は高度化しており、これらの多様なメディアを駆使して学ぶことが、中高生には求められます。しかし、これは大変難しいことで、誰もが最初は不安を抱えるものです。
- この不安を解消し、中高生が安心して探究成果を生み出せるようにするには、よりよい指導法の確立や支援システムの構築が望まれます。
- さらに、高校時代までに受ける教育の差異は、大学入学後の能力の格差ももたらします。この格差の実態解明や解消も、喫緊の課題です。
- 本研究室では、この実現に必要な基礎データや要素技術を明らかにすべく、様々な学校現場と連携しながら実践的な研究を行っています。(筑波⼤学の附属校や各地の私⽴/公⽴学校と連携研究を実施してきました)
研究領域を表すキーワード:
学校図書館 |
本棚・書架・展示 |
ビブリオバトル |
高校「情報科」教育 |
情報リテラシー教育 |
探究学習支援 |
中高生への引用指導 |
研究倫理・情報倫理 |
図書館不安・研究不安 |
特に今年度は、以下の研究プロジェクトに携わっており、予算や機材の都合上、
以下の関連テーマに関心をもつ方を重点的に募集します。
- 中学・⾼校の探究学習における研究倫理指導・研究発表指導:実態調査と教材開発
- 中⾼⽣は探究学習でどのようなトラブルに遭遇するか:不安と不正の発⽣過程の解明
- 探究学習を指導できる司書教諭の養成:現在の司書教諭課程の課題とは?
- ⾼校の教科「情報」の研究: ⼤学⼊学共通テスト導⼊の影響,次期学習指導要領への議論
- 知的書評合戦「ビブリオバトル」に関する研究:書評が育むコミュニティとは?
- 学習テーマに応じて書架を動的に再現する図書館のバーチャル展⽰開発
上記以外の持ち込みテーマであっても、前述の領域に合致すれば指導可能な場合があります。ただし、機材や研究環境の整備が十分でない場合があり、学生さん自身の準備や勉強の負担が高くなる可能性がありますので、慎重に事前相談が必要です。
研究手法としては、文献調査・インタビュー調査・質問紙調査など、社会科学的な手法を中心としつつ、システム・インタフェースのユーザー評価なども含め、達成すべき研究目的に応じて適切な手法を選択します。
研究指導・ゼミの概要
・テーマの決め方:
配属決定後、複数回のゼミを通して学生と教員で議論を繰り返し、テーマを決定します。
初期のゼミでは、関連する研究分野全体の基本文献を購読しつつ、様々な調査手法について広く学習を行って頂く予定です。これらのプロセスを経て、複数のテーマ案から自身の関心と適性を見極め、一つのテーマに絞り込みます。
なお、アンケートやインタビューなどの"人に対する調査"を含む研究テーマの場合、「研究倫理審査」などの手続きに大きな労力を要する場合があります。これらの書類作成や事務手続きは長引くことがあるため、めげない忍耐力が必要です。この点も踏まえて実現性を見極めるべく、テーマ選定の議論は慎重に行います。
・ゼミの頻度や指導の方法:
毎週ゼミを行い、進捗報告を求めます。また、自身が報告するだけでなく、他の学生の報告に対して質問や助言をするなど、積極的に議論へ参画する姿勢を持つことが望まれます。
全員で相互に研究を高めあう場がゼミです。1週間の間に少しでも研究が進んでいなければ、限られた時間で有益なゼミを行うことはできません。必ず各自で研究を進める努力をし、進捗報告を文章として記し、レジュメ資料をゼミに持参することが必要です。
夏休みなどの長期休暇中は、長めのゼミを不定期に実施します。
また、他の研究室との連携も積極的に行います。例年、各発表会の直前などに、鈴木佳苗研究室との合同ゼミを実施しております。
さらに、過去には東京キャンパスやリゾート地で、他大学と合同の特別ゼミを実施したこともあります(参加任意)。
研究をすすめる上で望ましい条件
- 前述の領域について、『研究したい』(何かを明らかにしたい/何かを改善・解決したい)と思う熱意があることが大切です。
- 多数の文献を収集し、素早く読み込む習慣が望まれます。この分野は電子化されていない資料も多いため、多数のアナログ資料を手作業で処理する根気が必要な場合もあります。
- 教職課程や司書教諭科目を履修しているなど、教育に関する基礎知識を有していれば、円滑にスタートしやすいと予測されます。(必須ではありません。)
- 研究スキルとして、調査法や統計、プログラミングに関する科目を履修済み(もしくは履修予定)であれば、理想的です。
(大きなシステムの構築能力までは必要ありませんが、データ分析のためのプログラム開発や、撮影機器・専用機材の操作・データ処理等を行う場面は生じることがあります。)
- 本研究室は、2022年度に設置された研究室であり、設備や環境はまだ発展途上です。⼩規模な研究室ですが、他研究室との合同活動や学会発表を推進し、対外的な研究交流を重視しています。これらも含め、研究室活動に前向きに関わって下さる皆様を歓迎します。
- 本研究室は連絡の多くをTeams上で行っています。しっかり通知を確認し、迅速にレスポンスを頂ける方が望ましいです。
- 本研究室には、学校教員や学校司書になった卒業生や、図書館系・教育系の企業に就職した卒業生もいます。また、博士前期課程・博士後期課程の頼もしい先輩方もいます。ぜひ先輩方と積極的にコミュニケーションをとり、上級生から学ぶ姿勢を持って頂けると、より良い研究室生活を送れます。
受け入れの条件
面談をすること。
面談の予約は、次のメールアドレスに、下記の内容を書いて送信してください。
件名: 研究室配属面談予約(学籍番号・氏名)
本文: (1)面談可能な日程候補(複数) (2)対面/オンラインの希望があれば明記
※面談日の候補:10/9(木)~10/24(金)の平日(できるだけ早めの日程で)
※ただし、10/22(水)~24(金)は図書館総合展に出展しているため、原則オンラインに限ります。(もし図書館総合展に来場される場合は、現地での面談も可能です。)
※面談予約メールは10/1から受付開始しております。
面談日が決まったら、自己紹介と志望動機もしくは関心をもった研究領域・テーマ等を記した文書の作成を、お願いします。面談日の前日までに、電子メールの添付ファイルとして提出して下さい。書ける範囲で構いませんし、必ずしも論文体の文章である必要はなく、漠然とした箇条書きや図解であっても構いません。この文書をもとに、面談時に口頭で説明していただきます。
選考方法
提出文書および面談の内容に基づき、以下の観点で選考します。
・本研究室が現在中心的に携わっている研究プロジェクトとの関連性
・関心をもった研究テーマとご自身のスキルの適合性
・卒業研究に対する熱意や費やせるエフォートの見込み
・研究領域に対する前提知識の状況やディスカッションの親和性
・進路の構想:特に、大学院への進学希望の有無、もしくは教員志望(司書教諭・情報科教諭など)の有無
※状況によっては、締切より前に内定を出す可能性があります。強く関心を持たれた方は、初回の面談予約は早期にご連絡いただき、早めのhope登録をお願いします。
その他
・オープンラボを以下の通り開催します。
共同研究室の見学や、小野研の在学生と相談をすることが可能です。
事前予約は不要ですので、お気軽に会場へお越し下さい。
<第1回> 10/14(火)18:00~19:30
<第2回> 10/16(木)16:30~19:00
※第2回は、システム主専攻実習の授業後半の時間から開放します。情報資源経営主専攻の方は、授業終了後からお越しください。
会場:7B240共同研究室(研究棟2階の階段すぐ横、院生室2-Aと書かれた部屋です)
・学類誌MILKに以下のような原稿を寄稿しております。よろしければそちらの紙面でもご覧ください。