松原 正樹

2025年度 卒業研究指導方針

氏 名:松原 正樹 (まつばら まさき)
所 属:知識科学主専攻
研究室:7D516
ゼミ室:7D330
アトリエ:7D514

 

研究室概要

「メディアとしての身体の知に迫る」

各地の風土に生まれ人々の暮らしの中に根ざした文化に代表される民藝や叡智は、どのように受け継がれていくのでしょうか。からだとこころは密接に関係しており、感情面も見過ごせません。身体をメディアとして捉えることで、私たちの間にはさまざまな遺伝・文化・感情的継承がなされていることに気づきます。継承される叡智や継承される現象も含めて、身体知「からだがあることで成り立つ知」と呼びます。

インターネット・AI技術の利用が当たり前になるこれからの時代では、AIによる平均的な出力に惑わされることなく、異なるからだをもつ一人一人にそれぞれの身体知があることを認識し、他者との相互依存性共通する人間性への気づきを通じて「自身の価値基準が何であるか、自分がどう在りたいか」を知ることが肝要です。

身体知の芸術表現はその一つの鍵であると考えます。芸術領域に自身の身体を委ね、内側の感覚に赴くまま表現することは、身体レベル非言語無意識に変容を起こす可能性を秘めています。松原研究室では、身体知の芸術表現による意識変容の現象を探求し、型ことば・ボディワーク・教育プログラムの開発を通じて社会還元を目指します。

身体知は一期一会の連続の中で、一人一人が異なる身体を持ち、各自の内側の感覚によって、立ち上がる現象です。ゆえに身体知の研究は一回性固有性主観性を考慮する必要があり、再現性・普遍性・客観性を重視してきた従来の科学的アプローチだけでは足りないと考えます。すなわち「もの」の研究から「こと」の研究を行う必要があると考えます。そのため、研究アプローチとして、研究者=実践者のアプローチを採用します。

 

指導可能な研究領域

松原自身の研究テーマ:身体知の学び、芸術療法

  1. 身体知・実践知・暗黙知

    • アート・藝道、スポーツ・武道:言葉にできない感覚に対する意味づけの熟達、間合い、グルーヴ、気

    • 日常生活における美意識・感性・自己意識の開拓、自己実現:居心地、ファッション、ものづくり、接客

  2. メディアとしての身体

    • 民藝・土着文化の継承、Human Library

    • 環世界の伝達と共有:型ことば、共鳴、感覚交換、場づくり、コーチング

  3. 観想教育・観想的実践のアート的展開

    • Social 社会的・Emotional 情動的・Ethical 倫理的学習 (SEE Learning)の日本的展開

    • アート as マインドフルネス・セルフコンパッション

  4. 表現アートセラピーの認知科学・芸術療法の他ドメイン応用

    • 芸術療法におけるファシリテータの科学

    • 表現アートセラピー×観想教育:シアターワーク

  5. 観想教育・表現芸術療法のための人間-AI認知的インタラクションデザイン

研究アプローチ

  • 一人称研究アプローチ / オートエスノグラフィー / アートベースリサーチ / 当事者研究 / アクションリサーチ:研究者=実践者(を取り巻く現場)
    日常生活を含めた経験の主観記述を対象とし、質的・量的分析により意識の変容をつまびらかにする。パフォーマンス、ライフヒストリー、ナラティブ、エッセイ、詩などの創作が最終形になることもある。
  • 二人称研究アプローチ / デュオエスノグラフィー:研究対象=よく知る間柄
    家族、親友、コミュニティなど関係性を文脈とし、積極的介入を是とするインタビューやフィールド調査。共創的なプロセスの記述
  • 構成論的アプローチ: 意識変容の仕組みをつくり実践して理解する
    
パターンランゲージ、型ことば、あそび、アートセラピー、ボディワークの開発

研究指導

テーマの決め方:本人が活動しているフィールドにおける問題意識に基づいて探索的に or 外部資金に基づいて設定された目標に沿って、研究テーマを決めます。

指導の頻度:週1回2コマ分 グループワーク(3・4年次)、週1回2コマ分 卒研ゼミ(4年次)
イベント:春フィールドワーク研修、夏合宿、合同研究発表会などは学生と相談して決めます。

過去の卒論テーマ

2024年度

  • ワイン提供サービスに​おけるコミュニケーションの暗黙知
  • サッカーの対人間合いにおける「虚」と「実」
  • 水彩・油絵の反美学的表現による生きる探究
  • エコロジカルアプローチがサッカーの中学女子選手の1stタッチに与える影響
  • 共鳴体験による音楽合奏の間合い体得支援システム

2023年度

  • アニメーション作画の熟達プロセスにおける環世界の変容
  • 音のマインドフル瞑想における経験の変容 〜主観的記述と生理的反応からの洞察〜
  • TED型プレゼンにおける服装のパタンランゲージ:一人称記述による話者印象を形成する価値観の探究
  • リリックムービーにおける制作プロセスと印象形成の相互関係 ─視聴者の受容を意識したアプローチ─

オープンラボ

下記の日程で行います。内容は卒研テーマ、キーワード紹介、ゼミ室紹介、指導方法、支援体制、イベント、スケジュール、選考、後半に教員不在で配属の相談の時間を設けます

10月11日(金) 13:00-15:00

10月16日(水) 13:00-15:00→10:30-12:15 (月曜授業日のため時間変更になりました)

対面で60~90分程度を予定しておりますが、人数が多く部屋の確保が難しい場合はオンラインとなる場合があります。

オープンラボ参加希望者は下記のURLから申し込みください。

https://forms.gle/F6zZG865ReU2NvsW7

申込いただいた方へ場所等の詳細情報をお知らせします。

研究をすすめる上で望ましい条件

学びの場をみんなと創れる人

自分のフィールドを探求する人

からだを動かすのが好きな人

受け入れの条件

面談を受けることを必須条件とします。面談時に下記についてお尋ねします。

    • なぜ志望するか:興味のあるテーマ
    • なにをしてきたか:自身のフィールド・これまでの実践実績
    • どう貢献できるか:研究室や他のメンバーにどんな影響をもたらすか
    • なにになりたいか:これまでの修学と将来の進路・キャリア

面談の予約は下記サイトから予約してください。Googleアカウントを用意してログインし、空いているスロットの中から希望する時間帯をクリックしてください。説明欄に氏名と連絡可能なメールアドレスが書いてあることを確認し、保存ボタンを押してください(他の人には見えません)。Googleカレンダーを確認し予定が登録されていれば予約完了です。予約時間になりましたら居室(7D516)にお越しください。

https://calendar.app.google/8eipRtQxXipjY1cP7

 

選考方法

面談により総合的に判断して決定します

その他

アート表現経験の有無は問いません。自分の価値観をお互いに共有し、自分らしくいられる場を、建設的に創っていける学生を募集します。

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