宇陀 則彦

卒業研究指導方針(宇陀則彦)

2025年度 卒業研究指導方針

氏 名:宇陀 則彦
所 属:知識情報システム主専攻
研究室:7B316号室(学位プログラムリーダー室)

 

指導可能な研究領域

1. 人文学研究者の資料探索行動分析および資料探索システムの設計と開発
 
人文学研究において資料探索は重要であるにも関わらず、人文学研究者の資料探索プロセスは十分明らかになっていない。国立歴史民俗博物館の後藤は、「一見関係のない日記のような記録と法律関係の古文書を同時に扱うことは普通のことで、その発見行為をサポートすることが重要である」と述べている(後藤真. 人文情報学と歴史学. 『歴史情報学の教科書』文学通信. 2019)
 
人文学研究における資料探索は、研究テーマに沿って資料間の関連を見出すプロセスである。これまで人文学の資料探索をサポートするため、研究論文や専門書を検索するための文献検索システムが図書館を中心に整備されてきたが、既存の文献検索システムでは、人文学研究者の資料探索要求に十分応えられているとはいえない。なぜなら人文学研究者の資料探索は自然言語処理を基本とする検索システムのアルゴリズムとは異なるからである。これは、人文学研究者の資料探索プロセスが十分明らかにされてこなかったことが原因である。そこで、本研究では、人文学研究者の資料探索行動の類型化を行い、資料探索プラットフォームの機能要件を明らかにする。
 
2. プロジェクション本棚の開発
 
友人の家の本棚をつい見てしまう。あるいは、自宅の本棚の整理を始めたついでに、つい並び方を変えて、ひとり悦に入ることはないだろうか。本研究は、本棚の構成や並びが人に与える影響に着目し、本棚といういわば汎用情報インターフェースの可能性を学術的に探ろうという研究である。今、世界はコロナ禍にあり、今後もコロナと共存していく「ウィズコロナ」の社会になると言われている。コロナは社会の様々なところで停滞をもたらしているが、社会の情報装置である図書館もまた影響を受けている。長期にわたって閉館を余儀なくされた結果、代替手段のない本棚サービスを解決することは喫緊の課題である。そこで本研究では、新しいかたちの本棚「プロジェクション本棚」を提案する。
 
プロジェクション本棚は、人の記憶や文化、社会、歴史の事象を本棚に投影し、再現する本棚である。ここで、「投影」という言葉には2つの意味を持たせている。一つはプロジェクションマッピングのように、本の画像をデジタル上の本棚に投影する物理的な意味、もう一つは、人の記憶や思想、社会の事象を複数の本の構成や並びによって本棚上に投影する認知的意味であり、言い換えるならば「見立て」である。例えば、「コロナ禍」というテーマで特集を組むとすると、コロナ禍に関する多様な本を一か所に集めて展示する。これを「コロナ禍」というキーワードで検索した本を並べているだけとみるのか、社会的な事象の投影(見立て)とみるかは認知上の違いである。
 
3. 多層化資源マネジメント 
 
デジタルライブラリ、デジタルアーカイブなど、多種多様な情報資源を多層化して構成する新しい管理手法
 
デジタル世界を基盤層、共有層、利用層に分け、世界に遍在する「ユビキタスコレクション(Ubiquitous Collection)」によって利用者のコレクションを支援するサービスを「相互援用型コレクションサービス(ミックス)(MICS:Mutual Invoked Collection Service)」と呼ぶ。詳しくは、宇陀則彦. デジタル世界にいまなにが起きているのか. 未来の図書館研究所 調査・研究レポート, 2019, vol.3, p.47-56. を参照のこと。
 
4. 知識情報概論的何か
 
知識の伝達と共有に関わるおもしろそうなテーマ(テーマ持ち込み型研究)
 
 
5. 過去の卒業研究
・生成AIを使った検索アシスト
・配架方法を読み解くことによるプロジェクション本棚の開発
・山田尚子作品にみる私と他者の関り、および現代社会における自由主義の意味
・AI時代におけるディジタルライブラリサービスの向上
・歴史学研究者の資料探索の特徴を反映した検索システムの提案 [抄録]
・本棚と人の相互作用 [抄録]
・椅子と私と図書館と [抄録]
・感性パラメータ法による香りと環境音の組み合わせ評価 [抄録]
・絵図の理解を目的とした読図プロセスの分析 [抄録]
・知識の繋がりを意識したアーカイブ理解の促進 [抄録]
・図書館における高齢者の資料選択行動分析 [抄録]
・アイデア発想におけるドキュメント共有の効果 [抄録]
・議論進行を支援するファシリテーションシステムの構築 [抄録]
・原資料の構造を反映したデジタルアーカイブの構築 [抄録]
・アーカイブズの三原則に基づいた情報アーキテクチャの設計 [抄録]
・大学図書館における聴覚障害学生の利用実態調査 [抄録]
・都道府県の関係性に着目した地域情報システムの構築 [抄録]
・知識情報・図書館学類生のための学び直しシステム [抄録]
・ARを用いた出会い系図書館の運用実験 [抄録]
・大学図書館業務における機関リポジトリの位置づけ [抄録]
・探索と登録のサイクルを用いた学習支援システムの構築 [抄録]
・オープンソースソフトウェアにおける人的コストと金銭的コストの定量的分析 [抄録]
・Webデータベース仮想統合システムの構築 [抄録]
・図書館システムにおけるディスカバリサービスAPIの機能要件 [抄録]
 

研究指導の概要

・週1回ゼミを行います。
・宇陀研究室は松村研究室、加藤研究室とゆるやかに連携しています。
 一緒に議論したり、卒研発表会の前などは共同で発表練習を行うことがあります。
・夏休みに合宿を行うかもしれません。
 

受け入れの必須条件

・面談すること
・面談の際に自分の考えをわかりやすく説明できること
・面談によって指導可能であるとの承認を得ること
 

研究をすすめる上で望ましい条件

・研究室にほぼ毎日来ること(研究は日々の議論が重要です)。
・アルバイトよりゼミを優先すること(「その日はバイトがあるので出席できません」は原則認めない)
・共同研究など卒業研究以外の活動に積極的に参加すること(仕事は複数、並行して行うものです)
・周囲とコミュニケーションをとれること(コミュニケーションは性格や気持ちではなくスキルです)
 

選考方法

・面談によって決定します。面談は対面を基本としますが、希望者はZOOMでも可です。
・面談希望者はメールで予約をとってください。
・定員オーバーの場合は宇陀が興味をもった研究テーマの人を優先します。
 

その他

・10/7(月)の主専攻実習の時間に研究室紹介を行います。
・オープンラボ10/11(金)3,4限, 10/15(火)3,4限, 10/17(木)3,4,5,6限に7D240で実施します。

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