KLiS TODAY Vol.22
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3KLiS TODAY No. 22February 2014新岡 美咲 現在、日本では外国人登録者数が増加していますが、日本の公共図書館においては多文化サービスの実施がなかなか普及していないとされています。これに対し、多文化主義を国是としているカナダ、そのなかでも特に移民の多いトロントにあるトロント公共図書館では、英語を母語としない人に対して英語教育や定住プログラムを提供するなど、充実した多文化サービスを提供しています。これまで、日本においてもカナダの図書館における多文化サービスに関する研究は行われており、そのなかにはトロント公共図書館に焦点をあてた研究もありますが、同館における多文化サービス、特にESL以外のプログラムに関して、具体的には移民向けにどのようなプログラムが行われ、それがどのように変化してきたのかといった研究は行われていません。そのため、私はカナダのトロント公共図書館で行われている移民を対象とした多文化サービスの現状を明らかにするため、同館が提供している移民向けプログラムの変遷を追い、また移民の構成状況が及ぼす多文化サービスへの影響を検討しました。 トロント公共図書館は、1998年より図書館情報雑誌「What’s On」を季刊で発行しており、ここにはトロント公共図書館が提供している様々なプログラムや、図書館で開催されるイベントなどが紹介されています。なかでも移民を対象とした「ESL & Newcomer programs」欄が情報発信源となっています。そこでこの欄に掲載されたプログラムの約15年間の変遷を追うとともに、トロント公共図書館年報やカナダ統計等のデータも合わせて検討してプログラム変遷の理由を考察しました。 研究の結果、トロント公共図書館では移民が多くを占めるトロントの社会情勢に合わせて多文化サービスを提供していること、その上で、近年は移民がカナダ社会で生活してゆく上で困窮しないために重要な定住プログラムを多く提供していることが明らかになりました。 卒業研究では、論理的に考える力、プレゼンテーション力、計画的に物事を進める大切さ、粘り強く取り組む力などが身につきました。特に、私は海外の図書館に関する研究だったため、英語で書かれた論文を読んだり、海外の機関と連絡を取ったりと、英語を使う機会が多かったように思います。ここが私の研究の一番大変だったところでもあります。しかし、研究を通して身についたことは、社会に出てからも役に立つと信じています。 私は卒業研究に伴い就職活動も行っていたため、この1年間は本当に忙しくあっという間だったように思いますが、この経験は自分を大きく成長させてくれました。(にいおか・みさき 知識情報・図書館学類 4年次)卒業研究を終えて ̶ 情報経営・図書館主専攻トロント公共図書館の様子トロント公共図書館の移民向けプログラム比率の変化
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