平成24年度 卒業研究指導方針

氏 名 武者小路 澄子
所 属 知識  知識科学主専攻  図情 情報メディア社会分野 
研究室 7D516
指導可能な研究領域
 「情報の伝達」や「知識形成」の根幹には、私たちが互いに何をどのように共有しているか、理解しあっているか(そして知り得ない・分かり合えないか)といった問題が存在します。
 本研究室では、こうした問題を、コミュニケーションや知識の本質≠探求し、分析する、ことを目指して研究していきます。
 具体的には、例えば特定の現場における「コミュニケーション」や特定のことに関する「知識の形成過程」を、実際に詳細に調査・分析したり、先行研究や既存の理論に基づいて批判的に検討したりします。
 なお、コミュニケーションやそれを基盤とした知識形成過程を捉える場合に、言語化された情報や明示的な情報だけでなく、コミュニケーションのメカニズムや、当事者の経験、感覚的なこと、身体的なこと、他者との“共感”や“共生”の問題も視野に入れていきます。

 本年度の卒業研究としては、次の四つのテーマの研究を行う予定です。
(1)人と人、人と人以外の生きものの対話や交流の質的分析
(2)非言語(ノンバーバル・)コミュニケーションや、感覚と知覚、身体性を含むパーソナル・コミュニケーションの研究
(3)特定の事象に関する知識や認識の過程の質的研究
(4)コミュニケーションそのものの本質や範囲、これまでのコミュニケーション論で着眼されていなかった側面に焦点を当てる研究
研究指導の概要
 基本的には週1回のセミナーと、必要に応じて各自が申し込む形での個人相談・面談で進めます。
 セミナーは、研究室所属の学生同士が話し合い、自主的に進めていただきます。
 春休みが終わるまでに基礎文献を読み、きちんとした研究テーマと研究方法とを提出、調査を行う場合は6月頃パイロット・スタディ、以後調査を進め、9月に章立て提出、以後データの分析、10月後半頃から執筆というのが標準的なスケジュールですが、テーマ等の違いにより若干ずれる場合もあります。

 セミナーでは、基礎文献を読んだり、分担して各自の研究を発表しあいます。また、必要に応じて、方法・方法論、発表会準備とリハーサル、論文執筆の注意点等の説明を行います。

 上に掲げたテーマに添って、実際に書かれた卒業論文の例として、
 (1)異種間コミュニケーションの事例分析 −インターネットにおいて語られたイヌとのコミュニケー
   ションを対象として−
 (2)触れ合い≠ェ意味するもの 〜グループインタビュー分析を中心とした体の認識に関わる
   考察〜
 (3)死について認識していく過程:大学生を対象としたグループインタビュー分析
 (4)日本人におけるコミュニケーション♀T念の考察 −和辻哲郎の思想を中心として−
 などがあります。
研究をすすめる上で望ましい条件
 『質的調査法』を十分理解した上で、質的研究における自らの適性について認識できていること
(質的研究にはある程度の向き・不向きがあり、本研究室では質的研究の考え方が多少なりとも必要となってくる。 自信のない方は、それを努力して克服する意欲が充分にあること。また、本研究室の研究テーマに関心があるが、質的方法によらないで行いたい方は、面談時にそれに代わる方法論やアプローチの仕方を説得性を持って提示できること。)

 自らの問題意識があり、それを表現しようという意欲が高いこと。
 また、研究対象とする現場の詳細を丁寧かつ繊細に観察するための感受性と論理性を培う意欲があること。
 自分で発想し、考え、その考えを書いたり語ったりすることが好きであり、苦でないこと(技術的な優劣は問いません)と、論理的に解釈したりそれを分かり易く書くためのトレーニングを積む意欲があること。
受け入れの必須条件 
『質的調査法』を履修済みであること。
『コミュニケーション論』か『知識形成論』のいずれかを履修済み/履修中であること。
 (但し三編生については事情に応じて履修条件に満たない点について相談に応じます)

 週一回セミナーを行う場合、火・水・木曜日のいずれかの午後となりますので、その時間はどうしても履修する必要のある授業がある場合を除き、セミナーを優先できること。
選考方法
 訪問期間中に、メールにて面談を申し込んでください。
 必ず、面談の際には、希望する【研究テーマ】【研究方法(アプローチのしかた)】を出来る限り具体的且つ詳細に書いたものをプリントして持ってきてください。
 申し込みがたてこんだ場合、面談の時間決めはメールの先着順に優先しますので、面談希望の方は早めにお申し込みください。
 ご心配な方は、予めメールにご自分が面談できる時間帯をなるべく多く書いてくださると早く確実にアポイントメントがとれると思います。

 プリントアウトしてお持ちいただいたテーマ等について、研究室で受け入れ可能かどうかを面談し、テーマや研究方法の不明な点や具体的になっていない点・本研究室で行うなら修正の必要な点などを話し合い、時には書き直していただくようお願いする形をとります。
 従って、「このテーマ・研究方法なら受け入れ可」とお互いの合意がとれるまで、複数回の面談が必要な場合も多いことを予めご了承ください。
    
◎「このテーマ・研究方法なら受け入れ可」と合意できた方から定員数までを研究室に受け入れます。
◎面談に際しては、上記「研究をすすめる上で望ましい条件」の条件とあわせ、(1)研究テーマと研究方法について具体的・現実的・明確であり従って実行可能性が高いかどうか、(2)書き直しをお願いした場合、柔軟かつ粘り強く対応してくれたか、(3)問題意識があるか・強いか、で受け入れる方を選考します。
その他