GE8 1601

メディア社会文化論

Media, Culture and Society

学期曜時限

1学期 金曜日 3・4時限

教室

7A105

3・4年

2単位

担当教員

後藤 嘉宏

オフィスアワーと研究室

金2限 513

授業概要

すべての物事にメディアとしての側面を見いだしていくマクルーハンのメディア論の示唆を受けながら、この授業ではまず、人がなぜメディアという情報の「運び屋」「記録屋」を求めてきたかを考えようとします。さらにメディアの伝達方向を垂直性(後の時間に伝える機能や死者や神への伝達機能)と水平性(同時代に伝える機能や同じような立場の人への伝達機能)に分けて分析し、それにあわせて色々な社会事象をメディア論的な事象の把握方法を踏まえ、分析します。さらに垂直性と水平性の概念を用いつつ、マス・コミュニケーション媒体の特性を比較していきます。またこれらの議論の合間に、マクルーハンや中井正一の議論を織り交ぜていきます。

学習・教育目標

図書館情報学を学ぶ前提として、メディアの諸特性を把握し、それらの相違と共通性を理解することが大切ですが、この授業によってそのことが、ある程度明確になります。また物事を実体的ではなく、機能的、相対的に把握する能力を養います。さらにそのようなメディアの諸特性の知識を前提にして、メディア・リテラシーが身につきます。

授業計画

盛り沢山で全てを話し切るのは困難なので、受講生の意向を聞きつつ、省く項目も生じます。
第1週 1.メディアを理解するのに必要な社会や文化の理論の概説
2.McLuhanからの示唆-実体ではなく関係性でメディアを捉える
第2週 3.メディアの定義(広義、狭義)と諸相(隣接概念との関係)
4.メディアは何を伝えるのか?      5.二元論とメディア  
第3週 6.人の命の短さと情報媒体(宗教、遺伝、教育、権力その他とメディアのかかわり)
7.記録媒体の垂直方向と水平方向について 8.暦、時計、時間とメディア
第4週 9.時間の流れのなかにある言葉を記録する媒体-紙 10.本の垂直性
第5週 11.雑誌と本との対比    第6週  12.新聞の特性(1)  第7週  13. 新聞の特性(2)
第8週  14.ラジオ、テレビの諸特性  第9週 15.インターネットのメディア特性  
第10-11週 16.メディアと誤報  17.文化資本とメディア  18.メディア・リテラシー

成績評価の方法

最終試験は、最終レポートにします。その場合も出席率、発言・報告等の多寡等、平常点は大いに考慮されます。最終レポートを課す場合、例年複数題(10題以上)から1-2題選択して答えることになります。レポートの評価の観点は、授業内容の適切な要約がなされているか否かと、授業内容への批判の鋭さや適切性、あるいはそれらを補足し発展させる際の説明の独自性等です。これらをあわせて評価します。

教材・教科書・参考書等

教科書はありません。教科書は使わず、ひたすら板書と口頭説明をする予定です。後藤は板書魔です。配付資料をhttp://www.slis.tsukuba.ac.jp/~ygoto/class-uploader.htmにアップするので、それらを各自印刷して授業に臨むことを求めますが、あくまでも参考で、基本は板書です。

履修要件
前提知識,他科目との関連等

標準履修年次は3年ですが,この分野に関心のある学生であれば、教室の収容範囲に収まる限り、知識情報・図書館学類1・2年生の履修も認めます。「メディア社会学」を既修あるいは履修中であることが望ましいですが、義務ではありません。他に「出版文化・書誌論」「図書館文化史論」「質的調査法」「量的調査法」「知識形成論」「情報行動論」が本科目と関連性が深いと考えられます。

授業外の学習内容・方法

単位の実質化に向けて、当面、次のようなことを想定・計画しています。
1.授業で説明した専門用語の簡単な説明のための小テストをときどき行う予定です。これは必ずしもペーパーテストの形式に限らず、出欠表で任意に当てた受講生に、答えさせる方式も想定できます。
2.授業の進捗状況によっては、配付資料の一定部分を事前に受講生に読んでおいて頂き、受講生数名ずつグループを組んで貰って、配付資料の知識を前提にした新たなテーマについて討論して貰い、その結果を授業時間内に発表して頂きます。
書き連ねると大変そうですが、配付資料等の予習・復習をきちんと行うことで、対応可能です。

備考
講義のホームページ等

「教材・教科書・参考書等」の項にも記しましたが、本授業科目の配付資料等をhttp://www.slis.tsukuba.ac.jp/~ygoto/class-uploader.htm にアップします。
ここのページの目的は主に配付資料のアップですが、他に、授業に関する連絡に適宜使うこともあります。授業及び試験期間中は注意して見てください。また、ここに昨年度の学群開設科目「メディア論」の配付資料その他の情報がアップされています。ぜひ参考にしてください。
平成21年度開講予定