こんな本を読んでしまいました!~僕にトラウマを与えた本たち~

こんばんは。M1の澤木です。
先日、LC主催で手塚先生にブックトークをしていただきました。
2011年9月28日(水)18:30-19:40 @7A106教室
こんな本を読んでしまいました!~僕にトラウマを与えた本たち~
紹介が終わり、先生の机に積み上げられていく本たち
この記事では、手塚先生によるトラウマ本の紹介(書名・著者名+コメント)と、参加者の方々が紹介してくださったトラウマ本についてまとめました。
当日いらしたかたも、おいでになれなかった方も、あなたにとっての「トラウマ本」との出会いとなるかもしれません。少し長い記事となってしまいましたが、ご覧ください。


第一部:手塚先生による、手塚先生にとってのトラウマ本紹介
トラウマといっても、「すっげーこわい」とか、「これを読んだら寝られない」などではなく、「この本を読むと考えさせられる」というようなものを中心に紹介をしていきます。
トラウマを受けるような、考えさせられるような本が好きです。
1. グレッグ・イーガン「順列都市」(上巻下巻
著者は短編も長編もいろいろ書いている人。デビューした頃に書かれたものはすばらしいけど、新しいものほど残念な感じがしてきてしまうので、最近のは読まない方がいいかもしれません。
この作品は考えさせられるSFで、「不老不死」が実現できちゃうんじゃないかな、って思わせるような話。
いろいろと(読者に)考えさせるような話が好きな作家さんで、短編集もたくさんあります!
「順列都市」の文庫が見つからなかった、とのことで、当日は別の本にタイトルを貼りつけての紹介でした。
# 「順列都市」の文庫が見つからなかった、とのことで、当日は別の本にタイトルを貼りつけての紹介でした。
2. ラ・ロシュフコー「ラ・ロシュフコー箴言集
名言集というか、毒舌ばかりの本。
昔のフランスには日本でいう句会のような、毒舌を言いあう会みたいなところがあり、ラ・ロシュフコーという人は、そこで特に優れた人だった。
たとえば、『われわれはみな、他人の不幸には十分耐えられるだけの強さを持っている』というように、個人への皮肉というより、人間そのものへの皮肉を紹介している本。
2.5.晴山 陽一「ニヤリとする言葉
言葉の本、という繋がりで。この本は格言集とはいっても、毒のある言葉ばかりを集めたもの。
同じ著者の新書「すごい言葉」は、格言だけでなく、著者による解説も載っている。
格言集は、自分の好きな言葉のところに付箋を貼って読んでおられるのだそうです。
# 格言集は、自分の好きな言葉のところに付箋を貼って読んでおられるのだそうです。
3. 山田風太郎「人間臨終図巻」(123
歴史小説を書く傍ら、延々といろいろな人がどう死んだか、というのを集めて、まとめた本。今日は1冊しか持ってきていないけど、3冊ある。
全部で1000人くらい。死んだ年齢順に並んでいる。
自分の誕生日のあとくらいにこれを読むと「こいつ越しちゃったよwww」みたいになる。
何をした人か、ではなくて、どう死んだか、がやたら詳しく書いてある。
これを読んでいると、些細な悩みとかどうでもよくなってくる。どうせいつかは死んでしまうものなのだから、大切に生きていこう、と。
4. グレッグ・イーガン「ディアスポラ
1冊目に紹介した「順列都市」と同じ作者の本。翻訳だと読みにくいかもしれないので、それが嫌で読めない、という人も多いかも。
日本で似たような話を書く人は、小林泰三だと思う。
5. 小林泰三「目を擦る女
この人は、日本で一番グレッグ・イーガンに近い人。
玩具処理者」という小説が映画になっていたのでそれが一番有名かもしれないけれど、あちらはどちらかというとホラーで、僕はこの「目を擦る女」がもっと好き。
現実をほんとに信じてもいいの? というのをどんどん攻めてくるような話。
5.5. 小林泰三「海を見る人
それから、小林泰三はこの本もオススメ。
ただしこちらはSFを読みなれていない人が読むと読みづらいかもしれない。
6. 星新一「ボッコちゃん」「どこかの事件」「宇宙のあいさつ
みんな知ってるんだ。じゃ、紹介しなくてもいいかな。
すごく好き。
ショートショートがすごく好きで、星新一は全部読んでしまった。
7. 阿刀田高「冷蔵庫より愛をこめて
今度の学園祭で講演をしにいらっしゃるんだし、読んだことないなら読みましょう!
ショートショートをたくさん書かれている方で、僕はショートショートがすごく好きなので、この人の本も好きです。
この短編集に入っている「幸福通信」というのがとても面白い。
8. ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー
おすすめです。ちょっと古いんだけど、80年代のVRのお話。
え、30年前!? って思ってしまうくらい、今にも通用するお話。仮想現実の中でハードボイルドな感じに戦っちゃうような話なんだけど、すごく日本趣味で、今読むと新鮮。
8.5. 山田正紀「電脳少女:アイドロイド・ユイ
ちょっとえっちな話なのであれかな、と思って本は持ってきていません。ニューロマンサーが好きな人にはオススメ。
9. フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
「ブレードランナー」の原作。これもすごく「人間ってなんだろう」って考えさせられる話。映画より原作の方がコメディー調。
10. 鶴見良行「バナナと日本人:フィリピン農園と食卓のあいだ
どうして途上国は貧しいのか?という話。
日本人がフィリピン人の何倍も稼いでいるのはそれだけたくさん働いているからだ、と昔は思ってたけど、この本を読んだら、アメリカの企業とか(デルモンテとか!)がフィリピンの農園をおさえて、現地の人を低い賃金で働かせている、っていう「不公平」がある。しかしそれは自分ではどうしようもない、って悩んでしまうような本。これはこれでトラウマ。
11. スティーヴン・ラバージ「明晰夢
世の中にはときどき夢を夢だとわかって見られる人がいる。夢を見てるって自覚しちゃう人。この著者もそういう人で、明晰夢について研究している。夢の中では自由自在に生きられるというなら、現実ってなんなの? ってならない? だからこの本を読んでいると、現実の価値って何だろうと悩む。
12. ショウペンハウエル「自殺について
本屋で見つけた。すごいタイトルでしょ? でもお洒落な装丁。
エッセーが三つまとめられている本で、表題作よりむしろ、「世界の苦悩について」が面白い。なぜこんなに世界には苦しみが多いのか、という話。
それは基本的に意志に反する事柄だけが強く認識されるようにできているから。だから人生は基本的に苦しみ。
みなさんとてもトラウマに感じるかもしれないけど、たとえばこういうことを言っている。「長く生きれば生きるほど、よりはっきりとこう気づくのである。人生は全体としてみれば期待はずれであるばかりか、詐欺ですらある」
でもこの人、すごく女性にもてて、長生きしたらしい。
ちなみにこの本、面白い構成になっていて、左ページは1ページ以内に収まる本文が載っていて、右ページは格言集的な感じで、左ページから抜粋した文がひとつだけ載っている。
帯には「人生の幻滅への解毒薬」って書かれてる。ほんとかよ!
岩波文庫のもあったけど、あれは堅苦しかった。この本の翻訳とスタイルはすごく画期的だと思う。ブルーになるようなことばかり書かれているのだけど、実際に読んでみるとスカッとした気分になれると思う。
第2部:ぼくの!みんなの!トラウマ本
参加者「(手塚先生は)トラウマ本に出会おうとして出会ったんですか? それとも、出会ってしまったんですか?」
手塚先生「やっぱり本から本へ、みたいなのはあります。あの本の作者さんはこんな本読んでたんだな、ってネットでむっちゃ調べたり。あとは、トラウマっぽいなーって思ったら探して読んでみるとか。たぶんこういうのはシェアするのが大事だと思うので、みなさんのトラウマ本のこともききたい!」
と、いうわけで、お互いにトラウマ本を紹介しあった結果、参加されていた方々から、オススメのトラウマ本が何冊も挙がりました。以下に書名とamazonへのリンクのみ、リスト化させていただきます。
プッシュしてくださった方ごとに、なんとなくグループ化してあります。
ハーモニー」(伊藤計劃)
冷血」(トルーマン・カポーティ)
ペスト」(カミュ)
レキシントンの幽霊」(村上春樹)
ちぐはぐな部品」(星新一)
未来いそっぷ」(星新一)
ひとめあなたに…」(新井素子)
サバがトロより高くなる日」(井田徹治)
川漁師:神々しき奥義」(斎藤邦明)
紋切型辞典」(フローベール)
ギリシア哲学者列伝〈中〉」(ディオゲネス・ラエルティオス)
天国旅行」(三浦しをん) 
火星年代記」(レイ・ブラッドベリ)
このとき、「誰もがトラウマを受けた本はないのか」という話にもなったのですが、「ノストラダムスの大予言」が挙げられていました。
→「ノストラダムスの大予言:迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日」(五島勉) 
また、池内先生と手塚先生がお話されていた,
・他人フィルター:知人の薦めてくれた本,Amazonのレビュー数(の多さ)
・時間フィルター:長い年月ずっと読まれている→つまり良書/良作ということではないか
という話は、とても重要なのではないかと思いました。
番外編:トラウマ本として紹介されたわけではないけれど
トラウマ本として紹介されたわけではないけれどもその場で言及されていた本、映画などについてもリストにしてみました。
クローム襲撃」(ウィリアム・ギブスン)※運び屋ジョニィ収録
ひでおと素子の愛の交換日記」(吾妻ひでお)
結婚物語(上)」(新井素子)
結婚物語(下)」(新井素子)
ブレードランナー:ファイナル・カット」(DVD)
JM」(DVD)※運び屋ジョニィ映画版
マトリックス」(Blu-ray)
マトリックス:特別版」(DVD)
リディキュール」(DVD)
おーいでてこーい」@世にも奇妙な物語
ここまで読んでくださってありがとうございました。
以上が、今回のブックトークのまとめです。いかがでしたか?
当日、後半は参加者の方々が各々のトラウマ本について語ってくださったこともあり、とても充実した会になったと思います。また、そのときに他の方からの補足を受けて、そこからさらに話がふくらんでいったという場面もとても多かったように思います。
手塚先生、参加してくださった皆様、ありがとうございました。
次回はぜひこの先生のお話をおききしたい! 等のご要望がありましたら、お気軽に klc[あっと]klis.tsukuba.ac.jp までご連絡ください。
(文責:澤木)