筑波大学2015年スクールガイド
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08■ MLA連携とはどのようなものでしょうか? 現代社会の「三大文化施設」と呼ばれる施設は、博物館(Museum)、図書館(Library)、そして文書館(Archives)です。図書館は図書を保存して利用に供し、博物館は貴重な文化財を保存・展示公開します。文書館は、まだ日本では数が少ないですが、歴史的に重要な文書記録や近現代の公文書などを保存・利用するための施設です。 この三つの施設は、それぞれ固有の役割と歴史をもって現在に至っています。一方、過去からの貴重な資料や情報を保存し、現在・未来の社会へ発信しようとする点で、各館は共通した機能をもっていると言えます。 そこで、ここ20年あまり、保存・利用の観点から3館が協力していこうとする機運が高まり、世界各地でさまざまな取り組みが行われてきました。この取り組みを3館の頭文字をとってMLA連携と呼んでいます。■ MLA連携の現状について教えてください MLA連携の具体的なあり方は、リアルの面とディジタルの面に分けることができます。リアルの面では、各館が貴重な資料の保存利用でどんな協力関係を結べるか、来館者へのサービスでどんな連携を図れるかなどを考えます。ディジタルの面では、インターネット上に各館の資料情報を掲げ、来館しなければ得られなかった知識を横断的に獲得できることをめざします。■ MLA連携の課題について教えてください MLA連携を実現するためには、本来の各館の業務が適切かつ活発に行われる必要があります。そこには学芸員(博物館)、司書(図書館)、アーキビスト(文書館)と呼ばれる専門職員が不可欠です。今、博物館、図書館、文書館が果たすべき役割を見直し、現代社会へそれらの意義を強く発信することが求められています。 MLA連携を図書館の立場から考えるとき、各地の公共図書館がもっている地域資料は大事な存在です。 50年以上前の日本では、図書館が地域のなかでほぼ唯一の文化施設でした。だから、今なら文書館や博物館が保存している歴史的に貴重な資料も、当時は図書館が保存してきました。そのような資料保存の経緯を踏まえ、利用者が各館の貴重な資料へ的確にアクセスできる方法を考えることは、MLA連携の課題のひとつです。地域資料とは:その土地で発行された図書・雑誌のほか、古写真、数百年前の古い文書記録、図面など知識情報学の研究 ~MLA連携~知識情報・図書館学類の領域で、近年、注目されている研究テーマに「MLA連携」があります。宮崎県都城市にて(2010年)LibraryArchivesMuseumMLA連携の図

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